「届かない腕に」

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「届かない腕に」 死を語り尽くせば 私には何もなく もうわかったと口を塞いで 旅をする足を止めなきゃいい 「みんなどこへ向かうの?」 それは私には幼稚な疑問で だけど だけど もう一度 誰かに笑いかけたい 誰かと笑い合いたい 誰かと抱き合いたい 欲望なら捨て去って 私を殺せばいいのに 私をなくせばいいのに 私を詰ればいいのに 運命ならもう受け入れるから 排泄されたペットの中 私の後ろ姿を見た 利き腕にすら力もなく 動く人形は年をとり いつかのように いつかのように 買い与えてみてよ ぴったりの合情を 私は笑いかけたい 私は笑い合いたい 私は抱き合いたい 願望なら捨て去って 私を軽蔑すればいい 私をまくしたてればいい 私を薙ぎ払えば良い 称号ならもう受け入れてるから 目を閉じると優しい人がいて 私を招き入れてくれた よかったねと呟く私が 優しい人と同じ声を 聞きたくないものを聞いて 見たくもない映画を見た 私は笑いかけたい 私は笑い合いたい 私は抱き合いたい そんな私なら捨て去って 私を具現化すればいい 私を泣き叫べばいい 私を見つけてあげるわ お迎えはもう遅すぎるから
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