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高田が地元の友人と久しぶりに再会し駅前の立ち飲み屋で酒を飲みながら語り合っていると女子大生らしき2人組がキャッキャ騒ぎながら「私 立ち飲み屋初めてなんだけどー!!」と言いながら入店してきた。偶然丁度良いタイミングで高田の右隣の位置が空いたので2人はそこに入り楽しそうにメニューを選びながらわいわい盛り上がっていたのを高田は横目でチラリと確認し(ああ立ち飲み屋もやっぱ良いもんだな コミュニケーションの場としては)などと急に大人ぶったように斜に構えるような雰囲気を醸し出していたが当然声をかける勇気など持ち合わせているはずもなく、出来ることと言えばさっきよりテンションを上げて友人との会話をすることによりあわよくば隣の女子大生たちも笑わせて何かしらのきっかけを作ろうという分かりにくいアピール方法しか思いつかなかった。なのでしばらく本気を出してトークを頑張っていたが隣の女子たちはこちらに何の興味も示さず高田の友人だけがただ大笑いするという不甲斐ない結果に終わったので早々に作戦を諦めて単純にこの場の雰囲気を楽しむことにしていたら突然入口付近にいた常連らしきおっさんが外へ出ていき5分もしないうちに店内に戻ってきて何事かなと高田が不審に思っているとおっさんは何も言わずにズンズンと女子大生2人組に近づいて行きコンビニで買い物してきたであろう白いビニール袋からハーゲンダッツのカップアイスを2つ取り出し「これ甘い物欲しくなったら食べて」と言って渡していた。すると2人はそのアイスを見て若干驚きながらも「ごめんなさーい。今ダイエット中なんですよ・・」と申し訳なさそうに断るとまさか断られると思っていなかったおっさんは「ああそうなの・・?珍しいね」などとよくわからない事を口にしてアイスを袋にしまい平然とした顔で元の席に戻って行った。そのおっさんの行動を見ながら(なんやねんあいつ)と高田が自分の事を棚に上げて嫌悪感を抱いているとカウンターから一連の流れを見ていた立ち飲み屋の店員のおばさんも同じ事を思っていたのか「まったく若い子に甘いんだからねえ・・」とぽつりと嫌味を呟くとその言葉にイラっときたおっさんは「うるせーな!だったらおまえにやるよ!これ全部!」と怒鳴ってビニール袋を乱雑におばさんに渡そうとしたが「いらないよ。そんなもん」とまた冷たく断られてしまっていた。おっさんは二度も女性に断られてメンタルが傷ついたのか泣きそうな表情をしながら「あげねーよ!俺が食うために買ったんだから!」とまたわけわからないことを言い出してビニール袋からハーゲンダッツを2つ取り出すと勢いよく食べ始めた。そうしたらしばらくその様子を横目で見ていたサラリーマン風の男が急におかしくなったのか飲んでいたビールを「ブハッ!」と勢いよく吹き出して「ゴホッゴホッ」とむせながら「すいません。すいません。」と謝ってる姿を遠巻きに見ていた高田は嘲笑を浮かべながらつくづく生き方が不器用な奴もいるもんだなぁと呆れていた。。
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