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圭は、慌ててしていたエプロンを取ると、寝室に行き、フォーマルスーツに着替えた。
「渋谷君! もう、ほんとに渋谷君のナナハンで行くしか間に合わないわ!」
圭は、フォーマルスーツ姿で大型バイクのナナハンに跨り、後ろには、フルフェイスのヘルメットを被った翔子が乗った。
二人のバイクは、海岸沿いの高速を飛ばし、空港へ向かった。
後ろから遅れて、SPの乗った車が付いてきたが、お構いなしに走った。
すると、スピード違反でサイレンを鳴らしながら、パトカーが追いかけてきた。
止まれと指示されたので、仕方なく、圭はバイクを止めた。
「スピード違反も甚だしいですよ!」
パトカーから降りてきた二人の警察官がそう言ったので、翔子はバイクを降りて、ヘルメットを取った。
長い髪が、さらりと出てきた。
そして、椿翔子総理大臣は、すっくと立って言った。
「ごめんなさいね。これからアメリカ大統領を迎えに行くの。遅れたら国際問題になるから、許してちょうだい」
いきなりの総理大臣の出現に、警察官たちは、驚いた。
「つ、椿総理大臣?!」
「許してくれる?」
翔子は、ウィンクした。
警察官たちは慌てて、言った。
「す、すみませんでした! 椿総理! どうぞ、思う存分、スピード違反して下さい!」
そうして、空港にどうにか着いて、アメリカのハミルトン大統領の出迎えに間に合ったのだった。
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