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「渋谷君、これ、、」
翔子が、寝室から新聞を持って来た。
脅迫状が送られて来た、さざなみ新聞の今日の朝刊だ。
一面にデカデカとあの脅迫文が掲載されていた。
圭は、それを見て言った。
「掲載を止めさせることは出来なかったんですね、、。混乱が起きるだろうに」
翔子が答えた。
「ええ。言論の自由よ。内閣府が新聞の内容に口出しすることは出来ないわ」
「それに、、」
翔子は続けた。
「渋谷君、昨日の夜、何かあったでしょう?」
「えっ?」
「昨日、渋谷君が着ていた服に擦り切れて破れている部分があったわ」
しまった!
圭は、そこまで気が回らなかった。
昨日のトラック事件で、道に転がった際、服が破れていたのだ。
翔子は、勘も鋭い。
何と言っても、42才の女性でありながら、総理大臣まで上り詰めた人物なのだ。
圭は、正直に昨日あったことを話すことにした。
新聞に載った脅迫文も、信憑性が高いことを、翔子にも伝えなければならない。
圭は、昨日のトラック事件のことを話した。
すると、翔子は、顔色が変わり、震える声で言った。
「渋谷君、、わたしたち、、別れましょう、、」
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