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第1章 結婚しているのに片想い。
結局、
「恋は惚れたものが負け。」だとは…
良く申したものでございまして…
日野義資「勝手にしろ!こんな男に惚れるなど不幸になりたいと言ってるようなものだがな…」
日野重子は今まで育ててくれた兄から捨て台詞を吐かれながらも…
正親町三条尹子「あんたも変わった女性ね…。殿は私にしか興味がないのに…」
重子の姉である宗子の代わりに継室となった正親町三条尹子から馬鹿にされながらも…
日野重子「…。」
歯を食い縛りながら耐えるより他に方法などありませんでした。
足利義教「…」
今まで隣にいて重子の事を庇ってくれた日野義資は…重子の選択に怒り狂っているのでもう味方にはなりません。
そんな重子の助けになれるはずの夫は何も言わずに重子を見つめるだけで…
正親町三条尹子「殿、私だけを見て下さりませ。そんな日野家の娘なぞ…私達の愛の前には関係ありませぬ…」
正親町三条尹子から重子に対する
当てつけのような言葉を言われると…
足利義教「余は尹子に従う事を決めた。まさに余の気持ちを代わりに伝えていると言っても過言ではない…。」
どっち付かずと言うのか何と言うのか…分かりませんが…
重子「…」
誰か好きになった人がいたら…
他の人の言葉が響かないと言う事は、よくある現象でございます。
それに…
足利義教「余は、室町幕府6代将軍足利義教であるぞ…」
自己顕示欲が極めて高い征夷大将軍は
自らの地位を誇示するばかりで…
正親町三条尹子「知ってます、殿。」
その言葉に…うっとりしているのは…
その寵愛を一身に受けている正親町三条尹子のみでございました。
日野重子「…」
日野重子は片想いなどと言う言葉はまだ室町時代では当然産まれてはおりませんが…自分の想いが一方通行だと言う事を無論自覚していました。
そんな複雑な関係性の中、
1年が経った頃
気紛れな男が気紛れな気分のまま
重子の居室に現れました…。
足利義教「余の傍にいると誓ったのだから…余の子を産んで貰おうか?」
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