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第0章 序章。
西暦1432年08月15日。
ここは室町幕府と蜜月な関係を築いている日野家の屋敷ではありますが…
日野義資「帰す?姉はものではありませぬ…!日野家は上様の父君であられる足利義満様の時代から将軍家と共に歩んできた家系でございます…!」
日野重子の兄であり日野重子が物心つく前に亡くなった父親である日野重光の代わりに父親の代わりも務めてくれた14歳年上で温厚な兄が怒り狂っておりました。
日野重子「兄上…」
あまりの剣幕に驚いた日野重子が自らの居室から出るとそこにいたのは…
日野宗子「義資、構いませぬ…。私なら殿から離れられるので満足ですよ?気にしないで…」
日野重子にとっては誰だか分からないけれど兄である日野義資が〈姉〉と呼ぶのだから姉なんだろうと思うくらい記憶にない存在の女性がいました。
日野義資「しかし…私は上様のなさりように不満を覚えておりまする…。」
日野義資にとっては日野宗子は、
姉であり憧れの存在でもありました。
流されやすく父親である日野重光の意向に逆らう事が出来ない義資の気持ちを汲んで代わりに意見してくれたのが
日野宗子「私が父上と義資の橋渡しをした事に感謝しているからそんな事を言うのかしら?それなら姉として当然の事よ…。」
日野宗子だったので日野義資は、
そんな姉を冷たく扱った足利義教の事を許せなかったのでございます。
日野義資「上様、日野家は将軍家とは上様の父君の代から蜜月な関係を築いて来たと言うのに…このような仕打ちはあまりにも酷いのでは…?」
日野義資の鋭い視線を受けながら…
責められているのは…
足利義教「余は将軍ぞ?日野家はそれ程身分が高くないと言うのに余を責めるなど許されぬ…!」
足利義満の次男であり先々代の将軍である4代将軍・足利義持とは同母兄弟である6代将軍・足利義教でした。
しかも…
正親町三条尹子「殿、日野家の屋敷にいると湿っぽいですわ…。早く帰って市で可愛い服を買って下さい…。」
日野義資「姉を日野家に帰す時に、
違う女を連れて来るなど誠意が全く感じませぬ!」
元々側室として迎えられた正親町三条尹子ではありますがこの女性は意外に足利義教と馬が合ったようでしたが…
日野義資からすれば…日野宗子を日野家に送り帰す時に側室であり尚且つ寵姫である正親町三条尹子と輿で相乗りをさせるなんて…
日野義資「とんでもない暴挙です!」
日野義資はそれもあり更に怒りの感情を激しく燃やしておりました…。
足利義教「…日野家は余に対して、
無礼を極めすぎてるのではないか?」
足利義教もそんな日野義資に対して
怒りを露わにしておりました。
日野重子「私が側室として日野家の名誉を守る為に上様の元へ嫁ぎます。」
…
…
…
日野義資「重子!少し黙っておれ…」
日野重子からの申し出に対して
義資は怒り狂っておりました…。
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