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「んっ、あ……」
口の中をゆっくりと撫でられて、入ったままの下半身も緩やかに動かされる。
上から下まで全部が支配されて、五感全部が黒咲さんに与えられる刺激で満たされていく。
「っあ……は、ぁ」
「ね、こうやって気持ち良いことするだけ。どう?」
「あ、それ……も、黒咲さんの……」
「せっかく呼んでくれるなら下の名前がいいな。……アキラ、呼んで?」
「……昌、さん」
「うん。それがいい」
まるで私が彼の専属になることを選んだあとのような空気である。
まだ返事をしていないのに、変な空気を出すのはやめて欲しい。
「君みたいにいーっつもニコニコしてる子って、俺の周りにいないんだよねぇ。だから近くにいてもらうのもいいかなって思って」
車で連れてこられてから今まで、昌さんの前でニコニコしていた記憶なんてないけれど、一体なにが見えているのだろうか。
それに今までがどうであれ、こんなことをされた後の自分が、呑気にニコニコと生活できるとは思えない。
「あの、でも……」
「すごく良い条件にしてあげてるんだけど、何をそんなに悩むの?」
「……だって」
「俺が喜ぶセリフ言ってくれたり、指定した服着てくれたらオプションってことで上乗せもするよ? 店で頑張るよりも、確実に早く稼げると思うけど」
「ンッ……あ、っく」
またトントンと奥を押すように動かれて、お腹の中が切なく収縮する。
色んな液体でぬるぬるに濡れている陰核を摘まれると、それだけで足先にぐっと力が入った。
難しいことなんて何も考えられなくて、ただ気持ち良いことだけが分かる。
──ああもう、いいか。
どうせ一度してしまったのだから、何回やっても変わらないだろう。
店に売られるよりは、今日と同じ行為を重ねる方が絶対にマシだ。
「……あ、昌さんの専属がいい……っです」
「ん。じゃあそうしようか?」
嬉しそうに笑った昌さんに再度口付けられ、悪魔に魂を売ったような気持ちになった。
快楽に溺れて現実が見えなくなって、この日私は最悪の契約を交わしてしまったのだ。
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