67人が本棚に入れています
本棚に追加
これはストックホルム症候群と呼ばれるものじゃないだろうかと、そう思ったこともあった。
だけど私は別に監禁されているわけじゃないし、門限付きだけど一人で外出することだって許されている。誘拐犯に好意を抱く心理状況とは違うと思う。
恐怖に対する防衛本能からくる感情なのだろうかとも思ったけれど、最初から今まで痛いことなんて一度もされていないし、始まり方が異常だっただけで昌さんはずっと優しい。
自分を守る殻なんて作る必要がないし、安心して側に居られるのだから、防衛本能とこの感情は無関係だ。
それじゃあ何故か、を考えた時に、一番可能性が高いのは脳の錯覚だと思う。
恋人みたいなプレイをしているから、これが恋だと錯覚しているだけなのかもしれない。
だけど私は最中以外の昌さんも好きだって思うし、ただ体の繋がりに意味を持たせるために思い込んでいるわけじゃないと思う。
それに、たとえ錯覚や勘違いから始まった気持ちだとしても、好きになってしまったらきっかけなんて関係ない。
関係ないからこそ、現状をどうにかしたいと、そんなことばかり考えてしまう。
いくら恋人みたいなプレイをして同棲していても、私と昌さんはお金で繋がっているだけの関係なのだ。
決して恋人ではないし、昌さんの気持ちも分からない。
私にはまだ借金が残っていて、昌さんが私とするのに飽きて「残りの借金の返済はソープで稼いで自力で頑張って」なんて言い出したら、私は従うしかないのだ。
考えるだけで寒気がする。
それだけは絶対に嫌だ。
昌さん以外の人としたくないし、他の人とあんなこと絶対にできない。
早くどうにかしないといつまでも対等になれないし、普通に付き合ってはもらえないだろう。
最初のコメントを投稿しよう!