弁償

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 奥まった場所にある重厚な扉が開かれると、そこは六畳程の洋室だった。  部屋の奥に三人掛けのソファがあり、ガラスのテーブルを挟んで一人用のソファが二つと、同じ素材のスツールが置かれている。  私より先に室内に入った男が奥のソファに座り、私も彼に向かい合う形で一人掛けのソファに腰を落とした。  私が逃げないように警戒しているのか、運転手の男性は入室したあと扉の前で足を止め、こちらを見張るように立ったまま待機している。  私の後ろに控えている男性と違い、目の前に座るこの人はただマイペースなだけという印象を受けた。 「あ、あの……」 「ああ、いきなり連れてきてごめんね? あんな場所で長話するより、こっちの方が落ち着いて話せていいかなぁと思って」 「……怖かったですけど、ちゃんと話を聞いてくれて誤解が解けるなら大丈夫です」 「そう? 俺はまだ君のこと疑ってるけど……まあ、罪のない子に責任を押し付けるようなことはしないから安心してよ」  そう言いながら男が卓上にタブレットを置き、さっき見たものと同じ映像を再生する。  車に傷をつける女性は最初から最後まで後ろ姿しか分からず、上から下まで私と同じ服装だ。それでもどうにか自分じゃないという証明をしたくて食い入るように画面を見つめ、一つだけ、自分との僅かな違いに気付く。
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