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「姉さん……! どこにいるの……!?」
シオンは、昼間のエリスの青ざめた顔を思い出し、強い後悔に苛まれた。
『姉さんと一緒に暮らせないなら、生きる意味なんてない……!』――そう叫んで手すりに足をかけた自分の腰に縋り付き、必死に止めてくれたエリス。
あのときエリスは、いったいどんな気持ちでいたのだろう。
実際の気持ちは、本人に聞いてみなければわからない。
けれど少なくとも、いい気持ちはしなかったはずだ。
それどころか、エリスは自身を責めたかもしれない。
自分の配慮が足りなかったから、弟を追い詰めてしまったのでは。
もっと大切にしてあげていれば、弟がこんな行動に出ることはなかったのに――そう思った可能性だってある。
(姉さんに、謝らないと……!)
『心配をかけてごめんなさい』と、伝えなければ。
そして、一刻も早く姉を安心させてあげなければ。
すると、そう思った瞬間だった。
暗がりの向こうに見覚えのある二人分の人影を見つけ、シオンは声を張り上げる。
「姉さん……!」――と。
けれど、彼はすぐに後悔した。
なぜなら、間の悪いことに、二人はたった今口づけを交わそうとしていた、その瞬間だったのだから。
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