帰還者コージ

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「単刀直入に言いますと僕の猫に会ってほしいんです」 「単刀直入すぎてわけがわかりません」 大久保駅、南口の近くにある六階建てのビルの三階。 落合探偵事務所(おちあい たんていじむしょ)において、依頼人の彼と 探偵である俺は、向かい合ってソファーに座った状態で困惑し合った。 「まあ、ちょっと落ち着きましょうよ」と、サイドテーブルに置いた コーヒーを改めて彼にすすめてみる。 「ありがとうございます、いただきます。あぁ、おいしいです。 豆からしてこだわってますね、とても落ち着きます」 コーヒーカップを持ち、香りをじっくりと嗅ぎ、ゆっくりと飲んでいく。 彼の名前は『浅野浩二 (あさの こうじ)』27歳、会社員、短髪で笑顔が さわやかで好青年な印象だ。 「飼い猫のポロロが毎夜、夢に出てきて話しかけてくるんです。 だから僕は、落合さん、あなたの探偵事務所に来たんですよ」 君、いったいどこが落ち着いたの?
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