帰還者コージ

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「はぁ......今夜は徹夜だわ」 ぽふっと、ポロロさんがため息をついた。 「風呂場がこんなになってたら、浅野さんは驚かないんですか?」 バスルームは、俺が入ってきたときよりもマフラーの占める面積が 広がってきて、もはや重圧感に襲われつつあった。 「あんた、ばっかじゃないの?さっき時間と空間を操作したって 言ったでしょ、いまあんたが来てるのは別空間よ」 「す、すみません.......で、あの、浅野さんを助けるってのは、 明日の旅行のことですよね? 夢にまで出て止めようとしたほどですから。 なにか危険なことが起こるとわかっているんですか?」 「コージ自身がね、良くないことを起こすのよ」 「え、犯罪とか?あんなに温厚そうな人が?」 「人間って、人前では本当の自分を隠すことがあるでしょ」 「確かに、あります......ね、ぐっ......ぐわぁっ!」 ついに俺はマフラーに押しつぶされかけてきた。
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