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涼風 虫の音 壮年期 お天道様が居るときは まだまだ汗が絡み付く それでも日暮が早くなり 涼しい風に髪そよぐ 蜻蛉(トンボ)が飛んで 空埋める 朱く煌めき 羽根光り 夕陽なんぞに負けないと 艶やかな赤 雲 背景 赤は生命(いのち)の色だぞと どうじゃ どうじゃと圧巻し 思わず 目細め 息をつく りーん りーん と虫の声 淋しさ 情緒 ふと弛む 気持ちの張りを溶きほぐす そんな想いで聴けるのは 僅か二つの国の民 日本とポリネシアだけ あとは聞こえぬらしいとな やれ勿体なし 惜しいこと ずぅっと熱を帯びたまま 今の今まで生きてきた 内に燃えたる生命(いのち)() まだまだ照らす この人生(みち)を 只熱いだけでいるじゃなく 涼んで 粋を 識るもよし りーん りりり と響きたる 生きて居るぞと 伝えくる りー りー りりり と唄謳う 生きてきたぞと 高らかに そうだな おまえも一緒だな 吾もそうだ と 微笑んで りー りー りりり と口遊(くちずさ)む なんだか楽しいものだなぁ りー りり りー りー 唄謳う 謳いながらも 歩き出す これから 秋に 成るんだ と
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