超妄想コンテスト第228回 山「家族」

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今日の宿題 「山」 そんなのわかんないよ・・・。 そういうときは、ばあちゃんにきいてみる 「ふむ・・・。」 ばあちゃんはちょっと首を傾げた。 「空ってなんだ?」 「あれ。」」 ぼくは上を指さした。 「海は?」 「泳ぐとこ。」 「そうかあ・・・。つながってないんだにゃあ。」 ばあちゃんは笑った。 「そりゃあ離れてないと生き物が住めないよ。」 「隙間はないと困るわにゃあ。」 ばあちゃんは絵を描いた。 「ここは空。」 星のマークが書いてある。 「ここは海。」 波の模様らしきものが書かれている。 「山はここだな。」 いかにもな三角形を書いた。 「森もある。」 クリスマスケーキに乗ってるやつみたいだ。 「みんなおなじとこにいるんだよ。」 「地球ってことかな。」 「家って言ってもいいにゃあ。」 ほう・・・そんなこと思いつかなかった。 「とうちゃんは空だ。ときどき雷がおちてくるだろ。 ああ、そうだよ。 この前いたずらしてめっちゃ怒られた。 ちょっとこわかったな。 「母ちゃんは海だ。 ひたひた・・・って迫ってきて、ごーって全部もっていっちゃうもんな。」 うんうん、漫画読みっぱなしにしてたら全部すてられそうになった・・・。 「じゃあにいちゃんは?」 「響か。あれが山だろ。」 「ねえちゃんは?」 「泉は森だな。」 ばあちゃんは絵を指さしながら続けた。 「空と海の間にあるものはきょうだいだ。 両方に包まれて育っていってるだろ。」 「ぼくはなんだろう?」 「まだ丘ぐらいだにゃ。」 「そのうち山になる?」 「そうだな。」 ばあちゃんはにこにこしながら頭をなでてくれた。 「お前は響のまねっこなんかしなくていいから、じぶんだけの山になれ。 高くなって雪山登山にきてもらうもいいし、低いけど春や秋に遠足にきてもらうんでもいい。 みんなに愛される山になるべ。」 ばあちゃんはもうひとつ小さな三角形を書いた。 「うん!」 大きな家族と愛される山。 「山」はぼくの目標になった。
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