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頂上まであと数歩
別隊長と同じペースで進んでいた我々の頭上にブーンと羽音を鳴らす者がいとも簡単に頂上にちょこんとのせられていた物を運んでいく。
「あーあ」
「我々の角砂糖がぁ!!」
別部隊長のアリたちも同様に嘆く。カブト虫は今頃、安全な幹にしがみついて甘い砂糖を食べているのだろう。
「角砂糖が無くなった今、下山するしかない。引き返すぞ」
「はい!!隊長」
我々を食い入るように見ている子供が近づいてくる。彼が小山を作った本人で、その右手には黒々とした土がついたシャベルを握りしめて。
「みな、待避!!」
ザクザクと容赦なく山を崩していく。恐ろしき子供よ。
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