少しずつ、馴染んでいく

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 エルフェやレジスのあとをついて回ったおかげで、屋敷内にも随分詳しくなった。シェイラの部屋から調理場に行くのには、中庭を横切るのが一番の近道だ。  朝食をシェイラが準備したのだと伝えたら、イーヴはどんな顔をするだろう。驚くだろうか、それとも笑って頭を撫でてくれるだろうか。  イーヴに頭を撫でてもらうのは、とても好きだ。アルバンもよく頭を撫でてくれるけれど、それよりももっと心がふわふわとした気持ちになる。  中庭へ続く扉を開けると、花の香りが色濃く漂った。朝露にしっとりと濡れた花が、太陽の光を受けてきらきらと輝いているのがまるで宝石のようだ。朝食のテーブルに庭で摘んだ花を飾るのもいいかもしれないと思いついて、シェイラはあとでレジスに聞いてみようと決める。  花壇を抜けて四阿の角を曲がれば調理場の裏口だ。まるで道案内をするように少しずついい匂いが強くなるのをたどりながら、シェイラは弾むような足取りで中庭を進む。  背丈を越すほどによく伸びた蔓薔薇の茂みを抜けた瞬間、広く開けた芝生の上に誰かがいることに気づいてシェイラは足を止めた。こちらに背を向けているし上半身裸だけど、見覚えのある青い髪は間違いなくイーヴのもの。汗に濡れているせいかいつもより色濃い青が、妙に妖艶に見える。
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