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会社No.1の美人彼女さんが居るのだから。
それを知ったのは、入社後1週間の研修期間が過ぎ、この部署に配属された初日だった。
同時に私は、その日、田上さんに一目惚れしたのに、告白もせずに撃沈したのだ。
─────1年前 2021年4月
同期の女子が話しているのを聞いた。
田上さんは、かなりのイケメン具合で同期の間でも有名だった。
「工事部の田上さんって、会社でNo.1の美人彼女さんが居るんだって」
「!!!」思わず目を見開いた。
──嘘!
「え? そうなの?」と、興味津々で聞いている同期の女子たち
私は、思わず「終わった……」と呟いた。
「早っ! まだ分かんないじゃん、ハハッ」
と笑っているのは、同期入社で同じ歳の美香だ。
「だって会社でNo.1の美人さんになんて、どう転んでも敵うわけないよ」
「そうかもしれないけど、どんな人か興味あるよね〜」
「確かに!」
見てみたいと思った。
あんなイケメンなのだから、そりゃあ隣りには、
美しい彼女さんが居ないと釣り合わない。
「どんな人なんだろうね〜」
面白がっている美香。
私は、その美人彼女さんのことが気になって仕方がなかった。
「秘書さんらしいよ」
「あ〜もうそれだけで超美人じゃん!」
「見に行く?」
「うん、行ってみようか?」
そう言いながら、お昼休憩中に秘書の方々が、
食べている広い食堂の一画を見てみた。
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