私の憧れ

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「は〜? 何が先約だよ! デートじゃないんだから、それにそんなのすぐに終わるだろうよ」 「無理無理、今から誠心誠意、心を込めて作成させていただくので……」 と、両手を振って断りを入れる。 「何だよそれ」 「ごめんなさいね〜違う人に頼んでもらえるかな〜?」と両手を合わせて笑顔で言う。 いつも私が断ると新入社員の美波ちゃんに頼む山田 「分かりました」と言いながら、新入社員だから断れず困った顔をしている。 「ふふ」 どうして、山田って、あんなキャラなんだろう。 神様ってホント不公平だわと思ってしまう。 そして、私は夕方までに田上さんの書類を完璧に仕上げた。 もちろん、私の仕事はコレだけではない。 毎日しなければならない仕事もある。 でも、何としても、田上さんの仕事だけは断らない! と決めているのだ。 夕方、5時15分の定時を過ぎた。 「ひまり〜帰ろう!」と美香が迎えに来た。 美香には昼休みに、『今日は田上さんの仕事をする』と伝えてあったので、 「ごめん、まだ田上さんが帰って来てないから、先に帰って」と言いながら、私の顔は微笑んでいる。 美香の顔も綻んでいる。 「ふふ、了解〜じゃあ又来週ね〜」 「うん、ごめんね〜お疲れ様〜」と手を振る。 ファイト! というジェスチャーで拳を握って、帰って行った美香。 何でも話せる良き友だ。
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