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【七】俺の同級生
俺は、中学と高校は男子校に通っていた。そこで知り合った竹内浩明という同級生がいる。
俺は、浩明を「ヒロ」と呼び、ヒロは俺を「バタゴー」と呼ぶ。あいつだけやねん、そんな呼び方するん。
俺は、中学に入る少し前におとんを病気で亡くして、受験を止めようかと考えたけれども、それは逃げるということで、そんなことをしたらおとんががっかりしそうな気がしたから、受験した。その結果、合格して入学できてヒロとも知り合えたわけやから、やっぱり受験しといて良かった。
ヒロは、大阪府内でも北部のちょっと郊外に住んでいて、俺は大阪市内やから小学校は別々やった。中学に入って同じ組になり、俺の出席番号がヒロの次で、それがきっかけで話すようになると、何となく気が合ってずっとつるんでいた。
そうは言うても、馴れ合いにはならんから部活は別々やった。ヒロはバスケ部に入り、俺は野球部に入ったけど、ヒロは高校に上がってすぐに怪我をして部活を辞めてしまった。
だけど、あいつは悲観することなく、かと言って無理に明るくするでもなく淡々と受け入れていたような気がする。
ヒロは、部活を辞めて身体が鈍るからって、高二になる前の春休みにバイトをしていた。うちの学校は、一応バイトは禁止になってたんだけど、多分バレても誰も咎めなかったと思うな。頭も性格も日頃の行いもええヒロやから。
ヒロの親父さんも商社勤めなんやけど、俺のおとんの会社とは規模がまるでちゃう。おとんの会社も一応海外との取引があるし、全国に支店があるはずやのに、何故かおとんはずっと大阪に居続けていた。
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