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男性職員は何も反論できなかった。しなかった。
もともと輪廻転生センターは世界大戦の犠牲者の救済措置で建てられたもの。あまりに減点が多く人の数が減りすぎると見込まれて出来上がった制度。本来の輪廻転生とはかけ離れている。
「は、はじめまして……」
翌日から輪廻転生センターは人以外の魂も受け入れる。あの世を彷徨っている魂をセンターの魂たちが連れて来るのだ。
「いや。そんな挨拶はいいよ。私は君らから望む言葉は『ただいま』なのだよ。君もまた彷徨う魂を見つけたならそう教えて連れて来てくれ」
長は職員にも教えていないことがある。一つの輪廻転生センターで受け入れられる魂には限りがあること。一つ入れば一つ追い出される。
今日は百の魂が入れ替わった。長も驚きだったのが口煩い男性職員は、この輪廻転生センターから追い出されてしまったことだ。
「しかし分からんものだな。悪事を積んでたってことだろ? 人以外の生で徳を積んでしか戻れん」
もともといた魂たちは新しく加入した魂たちと仲良く遊んでいる。人生で自殺を選んだ魂たちは追い出されずにはしゃいでいる。
「まぁ何はともあれ『ただいま』と帰って来られたら温かく迎えてやるか」
長は煙の出ないキセルを咥えて肩を揉んだ。さて忙しくなる。
輪廻転生センター。現在あの世で増殖中。
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