君はどこへだって行ける

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   夕方五時半過ぎに島に着くフェリーが、その日の最終便だ。  船が到着すると、ぱらぱらと乗客達が降りて来る。狭い島だから大半が見知った顔だ。  その中の一人が、私を見つけるなり早足で近付いて来た。  「どしたの。出迎えなんて珍しい」  私を見て不思議そうな顔をする聡史に、話したいことがあるの、と私は言った。
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