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今日は大輝を迎えに行って、そのまま一緒に買い物に行こう。遅めの昼食を終えて、ひと休みした春奈は時計を見て支度を始めた。
意味もない即興ソングを口ずさみながら、春奈は何とはなしに大輝の勉強机の引き出しを開けていた。そして絶句した。慌てて他の引き出しも見てみた。しかし何処にもおはじきが見当たらなかった。
きっと学校に持って行って、友達と遊んでいるだけだ。そう思いながらも、春奈は靴を履くのさえ煩わしく家を出た。
小学校の校門前で大輝の背中を見つけた春奈は、声を掛けようして躊躇した。家に帰るなら、こちらに向かって歩いてくるはずだからだ。しかし今、大輝は春奈に背中を向けて歩いている。寄り道をする事よりも、何処へ何しに行くのかが気になって、春奈は間隔をあけてその背中を見守る事にした。
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