植物状態からの回復

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植物状態からの回復

 私が植物状態になって二十年が経過していた。  既に私のベッドは病院から自宅に移っていたけど、身体は相変わらず全く動かなかった。でも、この間の記憶は鮮明に覚えている。 毎日、母と浩二さん、そして成長した理紗が交代で、私の生きる補助をしてくれていた。チューブを使った栄養の補給、痰の除去、オムツの交換、運動のサポート、そして体位交換や清拭だ。私はその家族のサポートを本当に感謝しながら毎日を生きていた。  この時、浩二さんは帝国大学工学部で教授となっており、障害者をサポートするロボテック機器の開発責任者を務めていた。彼は植物状態の私をテクノロジーによって回復する技術開発をライフワークとしていた。  また成人した理紗も医師になっている。彼女も私を回復させたいと願って、自分の意志でその道を選んでいた。私はその家族の想いに深い愛を感じながらも、未だ全く動けない自分に毎日歯がゆい思いをしていた。
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