急変

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 気が付くと地面に横たわっていた。周りは薄暗くて、激しい雨音も聞こえる。起きあがろうと身体を動かすと右足に激痛が走った。 「痛い!」  その時、私の目の前に浩二君の顔が現れた。 「百合、気付いたね。よかった」 「浩二君、ここは?」 「僕達は滑落して下の森に落ちたんだ。百合は多分、右足首の骨が折れている。僕はカスリ傷だったから、百合を抱えて、雨を凌げるこの大きな岩の下に移動したんだ」  首を横に回すと外は土砂降りだ。浩二君が時計を見ている。 「今、三時過ぎだ。何とか暗くなる前に下山しないと。でも雨の中の移動は危険だから雨が上がるのを待とう。だから百合はもう少し休んでて良いよ」    ゆっくり頷くと目を瞑った。彼の手が私の髪に触れている。 (ありがとう。浩二君)  疲れていたのだろう、私は再び眠りに落ちた。
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