転生事務員と生真面目騎士団長

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「……いかにも。私は王国軍騎士団長•ヴィクトル。いきなり切りつけてすまなかった」 「いえ団長様! わたくしなど、いつでも試し切りにご利用ください」 「悪かった。頼むからそんな卑屈なことを言わないでくれ」 騎士団長・ヴィクトルは頭を掻いた。 そう、私でも知っている超有名人。 特に、顔の正面にある大きな傷跡は見間違いようがない。 高身長で、よく見るとムキムキマッチョ。 無骨で険しい雰囲気なのに妙に整った甘い顔。 これで軟派な雰囲気なら一言イヤミでも言ってやろうかと思うが、真面目というか、誠実というか。 愚直が服を着て歩いているようだ。 顔の正面に受けた傷の跡も、彼の性質を物語っている。 ……いや、死ぬど?! 魑魅魍魎跋扈する複雑怪奇な王族周辺にいてその性格。 陰謀やら謀略やらに巻き込まれて、いずれ死ぬど?! ある程度小狡くなければ、政治力がなければ、ズル賢い奴らに餌にされてポイだ。 いくら脳筋でおkな騎士団でも、王直属の、しかも団長ならば周りの嫉妬も牽制もハンパないだろうに。 まあ、私には100%関係ないことか。
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