転生事務員と生真面目騎士団長

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それってなんか凄いことなんじゃない? 騎士団の事務員ってピンとこないけど。 今、私は辺境の地にそびえ立つ王立大図書館で、事務員をしている。 魔導書の扱いができる魔法司書たちの補助が主な仕事。 雑用係と揶揄されることもあるが、まあ、間違いではない。 王都からこっちに引っ越してきた時は、不便さと冬の寒さに閉口していたが、住めば都、辺境の地の暮らしにも慣れてきた。 四季折々の自然、景色。魔動物たち。 いいものがたくさんある。 「どうした。王都に戻るのは気が進まないか」 騎士団長は聞く。 どうやら、私の身辺調査は終わっていて、数年前までは王都で仕事していた事は筒抜けのようだ。 「いえ……」 私は、 「お話は嬉しいのですが、あまりに突然のお話なので……」 と答えた。 大図書館を辞めるのなら、後任に引き継ぎをしなければならない。 どんなに早くても一月はかかる。 そういうことを、私は伝えた。
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