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「もちろん、そちらの都合は考慮する。王都に住まいを移す準備もいるだろうしな」
騎士団長は真剣に答えた。
うーん、どうやらマジらしい。
王都にいい思い出はない。
めっちゃコキ使われた記憶しかない。
どうやって断ろうか……。
館長が反対するだろうから、とか?
私がこっそりと断る口実を考えていると、騎士団長は、
「大図書館の館長にも話は通している。後はリーリエの返事だけだ」
と、こともなげに言った。
なんだと。先回りされている……。
というか。
たかが騎士団の事務員の勧誘ごときに、団長様がわざわざ辺境まで来るのが、おかしい。
何か、ある。
けれどそれが何かはわからない。
普通じゃないことだけは察するのだけど。
「どうして、私なんですか」
私は聞いた。
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