雨空バス

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「……どうせまた浮気するんでしょ」  なるべく、冷静に。だって私はもう傷つきたくない。泣かされたくない。これ以上自分を嫌いになりたくない。  中二、初めての彼氏だった。つまり私の初めてをたくさんあげたその相手。  三年経った今、思えば幼かった。青かった。  こんなサイテーな男に私の大切なものを捧げてしまったなんて。 「はー、浮気ねえ……」 「許したと思ってるの?」 「ははん」 「戻れるわけないよね?」 「んー、好きでも?」  ああ、もう。  ざあざあ降る雨  が  少しずつ弱くなって  やがて射す光は  窓に付いた雫を透かす  キラキラ  ぎん色  目にまぶしくて嫌  隣の人を視界から外せられなくなって、嫌
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