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「窓拭きしてきます」
「え……ああ。はい、よろしく」
木枯らし吹く師走の寒空の下、冷えた雑巾片手に外に出ていく小野寺くん。
「朝拭いたばっかじゃなかったですか?」
「まあ、中にいたくないんでしょ」
言いながらゆうこさんはちらと厨房を覗く。中では小野寺妹、南美ちゃんが飾り用のフルーツカットに励んでいた。
クリスマスが近づいたここ最近はお客様も普段より増えるので土日はフルメンバーで出勤している。
ということは、ヴァンドゥーズにもうひとり戦力が加わるはずなんだけど……。
「せりなちゃん。いつまでそこにいるつもり?」
「だってゆうこさんんんー」
箱詰めカウンターの隅、夏の間小野寺くんがずっと原価計算で陣取っていた場所に、今日は朝からずっとせりなちゃんがうずくまっている。
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