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隊長が僕を呼ぶまで僕はしばらくその場に立ち尽くした。
「戦争が終わる日は近い…」
隊長がそう言ったが、その先に待っているものが何なのか、僕には想像もつかなかった。夜が訪れると、僕は基地の片隅に横たわり、空を見上げた。
星々が冷たい光を放ちながら、遥か遠くで瞬いている。五日後への不安が、眠りを妨げる。
だが、日々の訓練で疲れ切った身体はやがて眠りに落ちた。夢か現実か、奇妙な感覚に包まれながら、僕は目を覚ました。
すると、目の前には見慣れない風景が広がっていた。高層ビルが空を突き、地面には無数の車が行き交う。それは、僕の知っている1945年の日本ではなく、まさに未来の光景だった。
「ここは…どこだ?」
驚きと戸惑いが混ざり合う中、僕はその場に立ち尽くした。聞き慣れない音、見慣れない光景、そして全く知らない人々の姿。戸惑いながらも道を歩き続ける。僕の周りを歩いてる人は皆僕を見ている。
中には何かわからない細くて長い四角い物を僕に向けている人もいる。
「なんなんだ...?ここはどこなんだ?敵国か?」
周りを見ながら歩いていると、やがて、街角に立っていた看板の文字が目に飛び込んできた。
『2022』と数字が書いてある。
「2022年?」
僕はその年号に愕然とした。自分がいるはずの時代から、まるで夢のように飛び越えて、77年後の未来に来てしまったのだ。
一体なんで未来に来たのかわからない。僕はなにか変なことをしているのか?これはただの夢なのか?
「痛っ...夢じゃないな...」
頬を力強くつねってみても夢から覚めた感覚がなかった。僕は夢を見てるんじゃない。本当に77年後の未来にいる事を受け入れた。
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