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未来の日本
街の喧騒に混じって、僕は何とか気を落ち着けようとしたが、頭の中は混乱するばかりだった。
『この未来の日本で、僕が命を賭けて守ろうとしているものが何であったのか、その意味を再び問い直さずにはいられなかった。
戦争が終わり、平和が訪れたという現実が、目の前に広がっている。
それは、僕がいた時代から見れば、確かに希望のある未来だ。
しかし、その未来を得るために、多くの命が犠牲になったことを忘れてはならない。
僕もその一つに過ぎないのだろうか。僕がここに来たことによって、この時代が何か変わるのか。それとも、僕の存在はただの偶然に過ぎないのか。』
そんなことを考えていた。
街を歩くことしかできない僕は、日が暮れるまで歩き続けた。気づいたら周りにあった高層ビルがなくなっていて、大きな音も聞こえなくなっていた。
水を持っていなかった僕は水を求めた。僕の横を通り過ぎる人は皆僕を変な目で見てくる。暑くて倒れそうになることはない。
日頃、基地で真夏の日差しの下で訓練をしていたから。暑さには少し慣れている。それでも水が飲みたい。ひたすら歩いてると、一つの公園にたどり着いた。
公園には木がたくさん並んでいて影が多かった。影の下に座ってあたりを見渡すと、公園の隅に井戸ポンプを見つけた。僕は井戸ポンプに向かって走った。
「水だ、やっと水を飲める」
そう思ってポンプをひたすら押す。だけど、いくら押しても水が出てこない。水口が詰まっているのかなと、中を確認するが何かが詰まっているわけではなかった。
僕は必死になってポンプを押した。それでも水は一滴も出ない。諦めようかと思いながらもポンプを押してると、背後から声をかけられた。
「あの、何してるんですか?」
びっくりして後ろを振り返る。そこに立っていたのはセーラー服のような服装をしていた女性だった。
「君、なんで国民服じゃないのか?もんぺはどうした?スカートでいいのか?」
「え?もんぺ?別にスカートでも良くない?」
「そうか、君はここで何してるんだ?」
「え、それこっちのセリフ。お兄さんは...その服装でポンプ押して何してるの?」
「僕は水を飲もうとしてたんだ。しかしながら、水が出てこなくてね。直してもらっていいかな?」
「いやいや、これ記念物だから直せないよ?てか水飲みたいの?コンビニ行けばいいじゃん」
「コンビニ...?」
女性によると、コンビニはコンビニエンスストアを短く省略したものらしい。初めて聞いたと言うと、女性は酷く驚いていた様子だった。
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