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「だけど、結局ミツールは、銃創が悪化して、二日後に亡くなってしまったんです。道半ばで想いを絶たれて、その想いは呪いとなって、脈々とボクのところまで伝わってきたんです」
シュンはそこまで喋りきって、やっと私と目を合わせた。
私はシュンが語ったストーリーに感動していた。
「つまり、呪いが譲渡される条件は?」
「呪いについて認知すること。そして、呪いにかかった人間と挨拶することです」
「なるほど」
「レイカ部長に呪いが渡らなくてよかった」
シュンは安心したのか肩の力を抜いた。
その途端、「わっ」と短く叫び声を上げる。どうやらまだ怪異が収まらないらしい。
「大丈夫だから。解決策を見つけたから、私に譲って」
シュンは固い表情を崩さない。
「お気持ちだけ。ありがとうございます」
私はにやりと笑った。即座に「どういたしまして」と返す。
「あっ」
シュンがぽかんと口を開ける。だが、全文を言わせればこっちのもの。無事呪いは譲渡されたようだ。
ミツール・ジェイルの呪いは想像以上だった。
私の背後に誰かいる。充血した大きな二つの目が、じっと私を覗いている気がする。首筋に鋭いナイフを押し当てられている感覚だ。
男の呻くような声は生活音だろうか。違う。人間の喋り声だ。
「よくこれで振り返ることができたね」
なかなか勇気がいる行為だ。
「レイカ部長がいなかったら、もし一人だったら、絶対に無理でした」
シュンは口を滑らせたと思ったのか、喋りきってから顔を赤くした。シュンは誤魔化すように訊ねる。
「それで、呪い、どうするんですか?」
私は微笑んで言った。
「忘れたの? 私はオカルトライターだよ」
一ヶ月ぶりの投稿を、皆待ちわびているはずだよね。
まずは「ただいま」の挨拶からです!
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