6.気まぐれな神様にイケメンをプレゼントされました

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6.気まぐれな神様にイケメンをプレゼントされました

 スマホのアラームが鳴り、俺の眠りは無理矢理に妨げられる。  朝は無常にも等しく皆の元へとやってくる。とか、カッコイイことを言えたら良いんだけど。  いつもの朝に寝ぼけながら着替えを済ませて、バイトへと出かける。 「んー……何か夢を見た気がするんだけど……あんまり覚えてない。それに、何か寝たはずなのにダルい……」  額に手を当ててみても熱もない。何か違和感はある気がするが、時間は待ってくれないのでいつも通りに働くしかない。  コンビニの早番は昼以外はそこまで忙しくもないので、朝の掃除が面倒なくらいだ。  品出しもあるけどその時間には別の人も来るし、ここで働いてからそこそこたっているしぼんやりしていても問題なく働くことができた。  +++  その日の夜――  来る予定の子が来れず、どうしても残って欲しいと頼まれた俺は結局夜まで通しで働くことになってしまった。  これもフリーターの性なのかもしれない。  さすがに疲れたのでSNSでぼやいてから帰ろうかと、近くの公園の自販機でコーヒーを買ってベンチに腰掛ける。 「あぁ……帰ったらまた読もうかな……俺の至福の時は、やっぱり萌えを堪能している時なんだよ。萌えだよ、萌え」  プルタブを引き上げて何となく空を見上げると、今日も星が良く見えた。  なんだか既視感を覚える。 「何か昨日も見てなかったっけ……え、また流れ星?」  そして流れる流れ星。俺は驚きながらも全く同じ願い事をしてしまったことに気付く。  せめて違うことを考えれば良かったと後悔していると、電灯の明かりが遮られ自分の前に誰か立っていることに気がついた。  (あれ?さっきまで人なんていなかったはずだけど……)  影は遠慮なく俺に近づいてくる気がする。  誰もいない公園で俺の前に人が現れるなんて、もしかして俺、ピンチ? と心の中で警鐘(けいしょう)を鳴らしても、前を見る勇気はない。  どうしようと困っている間にも、無遠慮に距離が縮まっていく気配がする。  恐怖感でギュッと目を閉じてやり過ごそうとしたその時、頭上から優しい声が降ってきた。 「サツキってホント素直だよな。そんなに俺に会いたかった?」  いきなり声をかけられて驚いて、そっと目を開けた。  クリアになってくる視界と共に目の前を見る。  すると、そこには男の人が立っていて――  パッと見、焦げ茶の瞳がクリっとしていて童顔っぽいのに堂々としている表情で、とても頼もしい感じに見える。  自然な茶の髪の毛もキチンとカットされているし、軽く流してセットしていて大人っぽい。  服装も白のカッターシャツに黒のジーパンというシンプルなものなのに、胸元のボタンが数個外されていて、覗いている胸元が何だか色っぽい。  仕草がいちいち決まっているせいか、総合的にカッコイイのだ。  これぞ、イケメンなのかもしれない。  俺は心の中で思ったことに疑問を覚える。だって、絶対にこの感じはおかしい。  今、初めて感じた訳じゃない。  この感じは……俺は感じるがままに目の前の人に疑問をそのままぶつける。 「って、待って。この感じ、前にも……」  俺の目の前のお兄さんは、本当に可笑しそうに声をあげて笑う。  その仕草は凄く見覚えがあって、何だか他人だとも思えなくて。そう、確か―― 「一日ぶり? この町で暮らすことになりました。リツキです。よろしく」  全てを思い出してしまった俺のポカンとした顔を見たリツキは、愛おしそうに俺を見てからチュっと唇にキスをした。
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