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「危ないよ」
強く照れている彼が振り向こうとしたときに足を滑らせた。滑り台なので綺麗に滑走するが手を繋がれているので彼女も巻き添えになってしまった。
二人は山の下の砂場に滑り降りて、笑い始めた。
「これじゃあ子供の時の遊びじゃん」
「ホントだな。俺ってアホみたいだ」
さっきまでのぎこちなさはなくなっている。もう笑顔ばかりで楽しそう。
「落ちたら登れば良い。手を引くよ」
「言われなくても! この手は離さない。なんならあたしが先行しようか?」
もう昔の二人みたいにすら戻って楽しそうにしている。
思い出に新しい栞が挟まれる。きっとこのことは二人とも忘れないだろう。そしてこんなことがあるなら愛だって消えることはない。
二人は滑り台をさかのぼってまた山を登る。これから彼らにはまだ過酷な山があるだろう。しかし、手を繋いで二人で登れば怖いものなんてないだろう。
お似合いという言葉は違うのかもしれない。でも、このコンビはかなり最強だ。
「この山は必ず残さないとね!」
「そうだな。思い出が馬鹿みたいにある。今日のことも重要だからこれからもなくならない様に」
彼女の言葉に彼が答える。すると彼女は少し照れながらもうんと頷く。
「続かんと」
高いところに言うみたいに語ると脚を払い滑り始めてもこれはたんなる笑い。
おわり
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