夏だし、金持ちイケメンに買われてみた。

どこよりも安全な場所に匿われてみた。

　「……ん、あッ……これ、変な感じ……」

　ベッドの上で那月は仰向けの体勢で閉じた太腿の間に穂積のものを挟まされ、擦り付けられ、初めての体験に戸惑う。

　まるで挿入されているような格好ながら、自分の中に穂積がいるわけではない。
　それなのに互いの熱と快感が混ざり合う中途半端でむず痒い感覚に翻弄される。

　「……本当は君のナカに入りたいけど……今はこれで我慢だな」

　「……あっ、ンン……なんか……」

　「……那月、気持ちいい？」

　穂積は耳元に囁きながら強弱をつけて那月を揺さぶる。

　「……あ！そこ……」

　「……ここ？」

　入ってしまいそうで入らない、ギリギリのところを攻められ、那月が唇を震わせて悶えると、穂積がすかさずキスしてくる。

　「……ん、んうッ」

　久しぶりなのと中途半端なのと恥ずかしさから真っ赤になって身を捩る那月を見て穂積はさらに煽られる。

　「……可愛い」

　「……あ、だめっ」

　背筋を走る快感に那月はきつく目を閉じて唇を震わせる。

　「ほんとに可愛い」

　低音の美声で耳元に甘く囁かれ、息を吹きかけられて那月の白い喉が反る。

　「……那月、イキそう？」

　「……んッ、もう……」

　穂積は動きを早め、那月の耳朶を甘噛みした。

　「……ンあっ、ああ……ッ！」

　那月が登り詰めると穂積も後を追うように欲情を吐き出し、ふたりは荒い息をつきながら抱き合った。

　「那月、初めての素股はどうだった？」

　まだ荒い息のまま那月の耳元に穂積が囁く。

　「……うん」

　那月は穂積の胸に頬を寄せ、息を整えようとしながら言い淀む。

　「よくなかった？」

　「……気持ち、良かったけど……」

　「けど？」

　「……余計、穂積さんが欲しくなっちゃうから……だめ……」

　そう言って那月は穂積の胸に顔を埋めた。

　「……なんで」

　「え？」

　「なんでそんなにいちいち可愛いんだ？こんなの……」

　穂積は辛抱たまらなくなってさらに強く湧き上がってくる欲望を抑え込まなくてはならなくなり、先ほど以上に苦しい状況に追い込まれた。

　「穂積さん？」

　「那月、やっぱり君には色々な意味で敵わないよ」