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夢から醒めても。
「君はどこまで俺を虜にすれば気が済むの?」
互いに風呂を済ませ、再び穂積の部屋のベッドに腰掛けて向かい合った。
「虜だなんて……」
シルクのパジャマに身を包んだ那月が笑う。
「初めて君の瞳を見たあの瞬間からずっと、俺は君の虜だよ」
「穂積さん……」
穂積は熱っぽい眼差しで那月を見つめ、低く甘い声で囁く。
「昼間の続き、していい?」
改めてそう問われると恥ずかしくて那月は目を伏せた。
「……うん」
「あんな中途半端なのじゃなく、君のことちゃんと抱きたい」
穂積は話しながら那月の身体を自分に引き寄せた。
「……あっ」
ただ腕を引かれて抱きしめられただけなのに、触れられたところが燃えるように熱く感じて那月はきつく目を閉じた。
昼間、中途半端に触れ合ったせいで余計敏感に反応してしまう。
「那月、いい?」
「……いいも悪いも、そんなの……わかってるくせに……」
那月は目を閉じたまま穂積の腕の中で微かに震えた。
「ちゃんと聞きたい。久しぶりだから」
「久しぶりって……ほんの数日離れてただけなのに……」
「俺はもの凄く長く感じたよ。離れてる間ずっと、君に触れたくて気が狂いそうだった」
そう言うと穂積は長い指で那月の頰を撫でた。
「……んっ、俺だって……」
「俺だって何?言って」
穂積は次に那月の閉じた睫毛に口づける。
「那月、言って」
「あんたに……抱かれたかった……」
最後の方は消え入りそうに小さな声で言った。
穂積は歓喜に震え、噛みつきそうな勢いで那月の唇を奪う。
「んんっ、穂積さ……」
「初めてした日に戻ったみたいだ。嬉し過ぎて目眩しそう」
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