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「……穂積さん、ごちそう冷めちゃうよ?部屋の飾りつけも頑張ったから見てほしいな」
穂積にぎゅうぎゅう抱きしめられながら那月が呟くと即座に質問がくる。
「これ、まだ当分脱がないよね?」
「え?あ、うん」
「じゃあ行く」
そう言うが早いか穂積は靴を脱いで先回りすると廊下を歩いてくる那月をスマホで激写した。
「……那月ウサギ……超絶可愛い……」
「…………」
「あ、ポケットからニンジンはみ出てる。可愛い」
穂積は可愛い可愛いと連発しながら写真を撮りまくり、那月は若干引き気味でそれに応えた。
穂積と那月の部屋のリビングはハロウィンの紫とオレンジと黒で統一した飾りつけがなされ、お化けや黒猫、カボチャのバルーン、モールやガーランド、リボンなど相当凝った構成になっていた。
そして6人掛けの大きなダイニングテーブルの上いっぱいにパンプキンパイやかぼちゃプディング、かぼちゃスープ、ライスコロッケ、大量の唐揚げ、手まり寿司、サラダなどのご馳走が並んでいる。
「凄いな、かぼちゃを丸ごと使ったグラタン?」
穂積と悟が感心しながらテーブルの上の料理に目をやると澪が張り切って説明した。
「全部手作りだからね。買ったものはひとつもないから。右京と左京のレシピだよ。俺はカボチャに見立てた手まり寿司にサーモン巻いたり、かぼちゃの中身繰り抜いたりした。那月は唐揚げを下味から揚げまで全部やってくれたし、サラダも作ってくれたんだよ。スープも」
「澪、頑張ったな」
悟が目を細めながら頭を撫でると澪はとびきりの笑顔で頷いた。
「飾りつけもすごく凝ってるね。そこらのデパートより可愛くできてる」
穂積が部屋を見渡しながら言うと那月が嬉しそうに笑う。
「今日のために左京と右京と澪と前々から100均に行ったりデパートに行ったりして買い集めたんだ。ハロウィンの買い物なんて初めてですごく楽しかった。ね、澪」
「うん!俺、100均にハマっちゃった。だって何でも揃うし、全部100円なんだよ⁈凄くない⁈今度悟さんと行きたい!」
澪が大興奮でそう言うと悟は首を傾げた。
「ヒャッキンって何だ?まぁ、澪が行きたいって言うならつき合うが」
那月は高身長で黒づくめで仏頂面の悟がカラフルな100均の店内を澪に手を引かれて歩く姿を想像し、可笑しくて笑った。
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