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「ご馳走を乗せてる紙皿や紙ナプキンも100均で買ったんだよ。紙コップやストローも。ね、那月」
「種類がいっぱいあって迷っちゃったんだよね。一応黒猫シリーズとオバケとかぼちゃでまとめてみました」
唐揚げやライスコロッケが乗っている大皿は黒猫の顔を模ったもの、かぼちゃグラタンや手まり寿司はシーツのオバケのお皿、小さい取り皿はジャックオランタン。
ストローや紙コップまで同じシリーズの絵柄で揃える凝りようだ。
「すごい、これは立派なハロウィンパーティだね」
穂積がそう言うと那月と澪は顔を見合わせて目を輝かせた。
「そう!那月とテレビでハロウィン特集を観て、パーティってやったことないからやりたいってなって」
「左京と右京にお願いして準備したんだよね」
那月も澪もこれまで人並みの生活が出来ずに育ったため、世間では当たり前のことがとてつもなく特別で嬉しいことに感じるのだ。
人生初のハロウィン、初めての100均、初めてのデパートでの買い物。
穂積と悟はふたりが双子と一緒に大興奮で店の中を見て回る様子を想像し、微笑ましく思った。
「クラッカーも初めて!ちょっと怖かったけどめちゃめちゃ楽しかった!またやりたい!バルーンも!」
澪の言葉に那月がうんうんと頷くのを見て穂積が言う。
「あ、待って。クリスマスの買い物は俺と悟にも参加させて?」
それを聞いて那月と澪は盛大にハモった。
「クリスマス!!」
「まず見上げるくらいの大きなツリーを買わなきゃな。それとツリーの飾りつけも。窓辺には小さなツリー。あとクリスマスリースにスノードームも」
穂積が連ねる単語の数々を聞いて那月と澪は顔を見合わせ、頰を上気させた。
「見上げるくらい大きなツリー⁈」
「クリスマスリースに……スノードームって、何⁈」
大興奮のふたりを見て悟が言う。
「みんなで買いに行けばいい」
「絶対楽しい!」
「絶対行きたい!」
と、盛り上がったところで右京がワインのボトルを、左京がシャンメリーのボトルを手にした。
「あ、そうだね乾杯しなきゃ」
「お料理冷めちゃうもんね」
穂積、悟、澪は赤ワイン、那月と双子はシャンメリーの入ったグラスを掲げ、皆で乾杯した。
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