赤と緑に囲まれてみた。

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 「な〜つきちゃん、あーそーぼ……」  穂積と那月の部屋の玄関ドアを指紋認証でさっさと開けて上がり込み、澪がリビングのドアを開けるとソファで本を手にした那月はぼんやりと紙面を見つめていた。  綺麗な漆黒の瞳は活字も本も通り越してどこか遠くを見ている。  澪はそのままそっとドアを閉め、自分たちの部屋に戻り、テレビの前の絨毯にペタリと座り込んだ。  「……那月、最近元気ないな」  澪は手に持っていたゲーム機とソフトが入った籐籠を見つめながら寂しそうに呟いた。  「那月のことは兄貴がちゃんと考えてるから心配しなくて大丈夫だ」  声とともに悟が後ろから逞しい腕で澪のことを抱きしめた。  「……さすが穂積さん、もう何か手を打ってるんだね」  「兄貴は那月のこと何でもわかってるから」  地を這うような低い声で澪の耳元に囁くと悟はそのまま形の良い耳を甘噛みした。  「……んん……あんた、は?俺のこと……どれくらいわかってる?」  「試すか?」  「……うん」  澪が頷くと悟は真っ白なセーターの裾から手を差し入れてなめらかな素肌を撫でた。  「ここでいいのか?寒くないか?」  普段は鋭い目をして仏頂面の悟が常に自分のことを気遣い、労わってくれるのを嬉しく思いながらも、その過保護さに澪はくすくす笑ってしまう。    「なに笑ってる」  「ううん、なんでもない……幸せだなって、思っただけ」  そう言って澪は白く細い腕で悟の頭を抱いた。  「……澪」  「ここでシて……あんたの腕はいつも火傷しそうなくらい熱いから……寒いなんてこと、ない……」  それを聞いて悟はフッと小さく笑い、情熱的な口づけで澪の唇を塞いだ。  
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