赤と緑に囲まれてみた。

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 12月に入り、皆で揃ってデパートやクリスマスマーケットを回り、穂積が言っていたとおり大人が見上げるくらいのツリーやオーナメント、スノードームなどを少しずつ買い集めた。  互いの部屋の窓辺には小振りのツリー、部屋の各所にクリスマスリースやガーランドなども飾ったが、パーティ会場となる穂積たちの部屋のリビングにその大きなツリーが置かれると、那月と澪は暇さえあれば目の前に座って飽きることなく眺め続けた。  「那月ぃ、ツリーに願い事の紙、ぶらさげないの?」  床暖房のフローリングに左京がカシミアのブランケットを広げてくれて、その上に並んで座り、ココアを飲みながら澪が言うのを聞いて那月は苦笑した。  「澪、それ七夕(たなばた)と混ざってる」  「いいじゃん、願うのはタダだし」  「澪はなんて書いたの?」  「ひみつ〜」  そっかと言って柔らかく微笑む那月はため息が出るほど綺麗でしっとりと艶めいているのに、どこか寂しげで見ている者の胸を締めつける。  夏の間に色々あり過ぎて、その中で1人きりの身内である母を亡くし、学校の再開や苗字の変更、引越しによる諸々の手続きなどが重なり、それがようやく一段落したら年末で……。  朝晩の厳しい寒さの中で忙しく学校生活を送るうちに那月は目に見えて元気を失くしていた。  ーーとても幸せなんだけど、突然泣きたくなっちゃうんだ。  俺、疲れてるのかな。  そう言って寂しそうな瞳で笑う那月を見ても澪はどうしていいかわからず、己の不甲斐なさを歯痒く思う。  人生初の大切な友だちに何かしてあげたいと思うのに……その術がない。  澪は悶々と悩んだ末、あることを思いつく。
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