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ミノべーはまるで宇宙人だ。
休み時間、机に突っ伏していたら、突然ミノべーの顔が机の下から現れて目の前に広がった。
「うわっ! びっくりした!」
「ニッシー」
「なになに? 急に下から現れて」
「帰宅部、作ろうと思って」
ミノべーがなにを言っているのか、理解するのに時間を要した。
ある程度の時間が経過して、やっぱり理解できずに僕は口を開いた。
「帰宅部はすでにあるよ? 部活に入らなかったらそれは帰宅部だ。作るもなにも……僕たちはすでに帰宅部だ」
ミノべーはやれやれというように肩をすくめた。
「いやいや、ニッシー。その帰宅部じゃないんだ」
そうか。
その帰宅部じゃないのか。
しばし考える。
ミノべーの言わんとすることを理解しようとしてみる。
その帰宅部じゃない。
……いや、どの帰宅部だよ。
肩をすくめられる筋合いはないと思った。
「ニッシー。うちってさ、みんな部活頑張ってるだろ?」
「うん」
「だから」
「うん」
「帰宅部作ろうと思って」
周りに酸素がなくなったように頭が回らなくなった。ミノべーの会話にはロジックが微塵もない。ミノべーはじっと僕の答えを待っている。
「……まあ……うん……ヒマだし、うん」
「ありがとう」
「う、うん」
今、僕はすでに帰宅部なのだが、帰宅部を作るというミノべーにのって、一緒に帰宅部を作ることとなりそうだ。
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