朝と夜ノ魔法使い

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 昔々、あるところに朝の魔法使いと夜の魔法使いがおりました。  名前の通り、朝の魔法使いは朝を司る者、夜の魔法使いは夜を司る者であり、それぞれ空の半分を所有しておりました。  時間になると朝と夜の空を取り替えるのです。  真面目な夜の魔法使いは毎日文句も言わず、それを続けておりましたが、ある時、不真面目な朝の魔法使いが空を取り替えることを拒み、魔法で夜の魔法使いの力を奪ってしまいました。  夜の魔法使いは姿を消してしまい、それからというもの、世界には夜が来なくなりました。  毎日、朝なのです。  夜を望んだ者は多く居りましたが、誰も朝の魔法使いには逆らえませんでした。  しかし、夜を失った世界で一人だけ、夜の魔法使いを探す少女が居りました。
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