12人が本棚に入れています
本棚に追加
宇宙船に搭載されているAIのCCに朝と夜のプログラムをインストールした。地球が消滅する前だ。きっと、地球が消滅した今では手に入らないプログラムだっただろう。
「おはよう、CC。今日のニュースは?」
こんなに狭い空間でニュースも何もないだろう、と分かっていても毎日の日課なのだから仕方がない。
「地球の夢を見ました」
「は?」
「地球の夢を見ました」
「CC、ふざけている場合じゃないぞ?」
「……」
船内で育てたニンジンを囓りながら僕が叱るとCCは黙ってしまった。AIが夢を見るわけがない。夢と捉えられるようなプログラムをインストールした覚えもない。僕自身だって、もう何年も自分の夢すら見ていない。
「CC、どんな夢だった?」
「音のない世界の夢です」
僕がもう一度明るい声で言葉を投げかけるとCCは淡々と答えた。その答えにハッとする。手に持っていたニンジンが宙に浮きそうになった。
「ご覧になりますか?」
「ああ、見せてくれ」
起きたばかりだが、また眠りにつき、寝ている間に脳波を操作する装置を着けて夢に潜る。本来は上手く眠りにつけない時に使う装置だが、機械のデータを頭に送り込むことにも使えるのだ。
最初のコメントを投稿しよう!