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「地球は消滅したはずだぞ?」
自分はまだ夢を見ているのだろうか、と疑う。
「いえ、消滅していません」
CCの言葉で完全に目が覚める。AIが嘘を吐くはずがない。今、信号を受けて、あれが地球だと理解しているはずだ。
「まさか、あの時の信号が誤報だったというのか?」
帰れる。地球に帰れる。君のもとに帰ることが出来る。
「こちら宇宙船0HA-Y01001、今から大気圏に突入する」
「ジジッ……、0HA-Y01001、了解した……」
無線から久しぶりに人の声がした。
朝の静けさと夜の静けさは違う。宇宙には空気がない。つまり、音もない。だから、やっぱり、宇宙には朝も夜も存在しない。そんな哲学的なことを言って、君を困らせたね。
君の世界に音は存在しない。だから、君の世界には朝も夜も存在しない。僕はそう言ってしまったんだ。僕は君に「おはよう」を返さなかった。僕は意地悪で頑固だった。
今なら、この概念を覆せるよ。
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