秋のある日のこと

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「今回、ダンは反省レポート三十枚の処分だったよ」  ナオミはそう言いながら食堂から持って来たサンドイッチをほおばった。  シャワーを浴びた二人は、着替えて寮の談話室の暖炉で暖まっていた。そこに大きな籠でサンドイッチとオレンジジュースの瓶を入れて持って来たナオミが「よ」と談話室にやってきた。  そして二人が転移させられた後の話を聞かせてくれた。 「さすがのダンも、今回はちょっと反省してたね。反省レポートの枚数に文句を言わなかったんだから」  ナオミは楽しそうに笑う。  ダンはたびたび今回のように問題を起こしては、罰が与えられる。軽くて補習や反省レポート、ひどいと謹慎処分を受ける。年に一回のペースで謹慎を受けていた。 「ざまあみろって思うね」  愉快だと言わんばかりのナオミに、マリアとハナも「もう二度とやらないと良いけど」「ねえ」と同意した。 「どうだか。ダンの口が滑るのはもう、直りようがないと思うけどね」  ナオミはそう言ってサンドイッチの最後のひと口を口に入れると、トートバッグからノートを取りだした。 「午後の授業の宿題、終わってる? よかったら答え合わせしようよ」 「いいよ」 「オッケー」  三人は和気あいあいと〈魔法使いの文化と歴史〉の世界史編の答え合わせをはじめる。窓から差し込む優しい日の光が心地よい秋のある日のことだった。
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