第二章 風邪

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第6話 様子見 「どーも。ヘルプできました。五月野(めいの)です。」 「ごくろうさまです。ありがとうございます」  待ち合わせ場所のベンチに戦谷はちょこんと座っていた。平日の昼間に明らかな子供が一人でベンチにいるのに補導などはされる雰囲気はなく、景色に溶け込んでいた。ぱっと観察して彼の体調を一応確認しておく。少し目の動きが遅いくらいか。仕事などせずに休めば治るだろうに。とりあえず彼が背負おうとしたどでかいリュックは持ってやることにした。思ったほどの重さはない。 「ではいきましょうか。ここからそうとおくないですから」 「はーい」  案内されたのは随分な豪邸だった。戦谷は前の依頼できているから慣れているのか、すんなりと入って依頼人の部屋を訪ねる。 「戦谷くんだ」 「おひさしぶりです」  聞いていた通り、依頼人は子供のようで、戦谷を見るなり嬉しそうに顔をほころばせている。年齢は依頼人のほうが戦谷より高そうだ。 「付き添いの五月野です」 「わあ! 今日は二人も来てくれたんだね。嬉しいなぁ」  俺の顔を見てさらに喜ぶ依頼人を見て、悪い気はしない。ここまで純粋に歓迎されることは最近なかったから。 「そうだ、のっくをみせて」 「もちろんです。どうぞ」  俺が預かっていたでかいカバンから、それまた大きめのぬいぐるみが出てくる。それを依頼人は受け取ると嬉しそうに抱きしめた。まだ子供なのだから人形遊びが楽しい時期なのだろう。人形を抱きしめる姿は様になっていて、大変よく似合っていた。  その後は依頼人の私生活や悩みなどを聞きながらゲームなどをして時間を潰した。だんだんと戦谷の口数が少なくなってきたのがわかる。そろそろ交代して依頼人が俺に集中するようにしてもいいだろう。そう考えていると部屋の戸が開いた。
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