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「あなたは、お父さんのことが本当に嫌いなの?」
それは、私が心の中で何度も自分に問いかけた質問だった。
「自分のことはぜ~んぶ捨てて、あなたのために必死なお父さん、あなたは本当に嫌いになれるの?」
「分かってる、そんなことは分かってるんだよ……。」
答えは、もう出ていた。
それでも、私がお父さんを遠ざける理由、それは……。
「あんなふうにお父さんが必死にやってるのに、私は何もやってない。惨めなんだよ、自分自身が。お父さんが出来ないことを言い訳にして、私は自分が何もしていないことから、逃げてるだけなんだ……。」
いつの間にか、私は泣いていた。
本心を吐き出すことが出来たからだろうか。
「じゃぁ……一緒にやればいいじゃない。」
母は何よそんな事、と笑いながら言った。
「お父さんがなんでも頑張るからあなたは何もしないんじゃなくて、お父さんに声をかけて、協力してやればいいのよ。お父さんは敵じゃないんだから、普通に声かければいいじゃない。簡単なことよ。」
「でも、2年も経っちゃったら……」
「何年経っても同じよ。親っていうのは、何を言われても、何をされても子供のことを嫌いにはなり切れない、そんな生き物よ。」
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