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中学3年の夏休み。
私は出来るだけ友達と予定を作って遊びに行き、夜遅くまで帰らなかった。
非行に走ったわけではない。
昔からの馴染みで仲の良い親友の家で過ごしたり、友達で集まってカラオケやゲームセンターに行ったり、ただそれだけ。
真っ暗になって帰って来ても、父は私を叱らなかった。
「お帰り。遅かったね。何事もなかったかい?」
……とりあえず声をかけてはくれるけれど、私はその一声にも腹が立った。
「もう15になるんだし、いちいち聞いてこないでよ。少しくらい帰りが遅くなったって、犯罪なんてしないから!」
父は怒っているわけではなかった。
しかし、母がこの世を去ってから2年。
どうしても父のことが好きになれなかった。
一生懸命やっているのは分かる。
今までやってこなかった家事も、近所付き合いも、父は必死に試行錯誤しながら向き合っている。
それでも、母が生前やっていたように上手く出来ない。
母だったら、あんなふうに出来たのに。
どうして、父は出来ないの?
同じ親なのに。
私の不安は募っていくばかりだった。
そして、母が亡くなってから2度目のお盆がやってくる……。
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