有能メイドはおてんばメイドに振り回される

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「だぁあー! ちょい待ち! ソル、その袋どうする気!?」 「どうって、これでクリーム絞ろうと思ってぇ……」 「まだスポンジ作れてないよ!?」  エプロンを着て、早速二人はケーキ作りに取り掛かる。  料理の段取りがよくわからないのか、ソルはまだクリームも作れていないのに絞り袋作りに取り掛かっている。  軽く説明したけれど「あえ?」とよくわかっていなさそうだったため仕方ないのかもしれないが……。いや仕方ないのか? 「ソルあのね、まずは土台になるスポンジを作ろう」 「スポンジ作り! わかる! 卵をかき混ぜて焼くんでしょお?」 「んー、そうだけど、ちょっと違うかな。まずは卵を割って、黄身と白身を分けて、それぞれボウルに入れてくれる?殻はいれちゃダメだよ~」  黄身と白身を分けるための道具を手渡すと、はーい、とソルはルンルンで卵を割ってボウルに入れ始める。その間にイリスはバターやケーキ型の用意などの下準備を始めた。  スポンジ作りをソルに任せるため、スポンジに必要なその他の物も、量って用意しておく。 「できたよぉ!」  嬉しそうなソルの声に彼女の方を向けば、綺麗に分かれた卵がボウルの中でつやつやとしていた。 「すごい! 上手!」  へへっと嬉しそうなソルに、これを入れて混ぜてね、とバターやらなんやらを渡す。  頼られて嬉しいのか、ソルは「任せなさい!」と胸を張って受け取った。  ソルが生地を作っている間、イリスは果物やクリームの準備を始める。  二人が黙々と作業し、ほぼ同時に「できた!」と声を上げた。 「イリス、この生地どうすればいい!?」  嬉しそうなソルに目を向けると、案の定、彼女は全身に生地が飛んでべちゃべちゃだった。 「随分汚れちゃったね。でも生地は完璧だね」  型に注ぎ入れ、オーブンで焼く。 「ねえイリス、この間にどうするの?」 「クリームもできたし果物も切れたし、お皿も出した……。他にやることはないから、休憩しようか!」 「休憩……」 「嫌だった?」 「ううん! 休憩しよ!!」
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