有能メイドはおてんばメイドに振り回される

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 わいわいとした食堂。  使用人同士が仲がいいことも、ファイ家のいいところだろう。 「ねえソル」 「らぁり?」  もっもっと口を動かしながら返事をするソル。リスのように膨らんだ頬には、ケーキが目一杯に詰め込まれているのであろう。 「食べながら話さない!」 「んう~。ん、なあに?」  ごくりと飲み込んだのか?今度は聞き取れる発音で聞き返す。 「私、今日のことで思ったんだけどね」 「うん」 「私たち、正反対でしょう?瞳の色も、性格も。だけど、だからこそ私にとってソルは、一番よく理解しあえて仲良くなりたい存在なんだって」 「えっ! 私も一番わかって、仲良くなりたいってすっごく思った!」  おんなじだぁ、とソルは嬉しそうに言った。 「ねえソル、知ってる? 正反対の色って、お互いを一番引き立てあう、一番相性のいい色同士なんだって」 「んふふ、そしたら私たちも一緒だね」  正反対は一番引き立てあえる!と二人で手を合わせ喜び合う。 「二人とも、お写真を撮りますよ、並んでください」 「はぁい」  パシャリと幸せのひとかけらを閉じ込めたフレームに、正反対の色を宿した瞳が、キラキラと輝いていた。
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